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代償
ーーあなたの被害者は10名を越えています。それぞれ「傷害」「窃盗」「通り魔」ですか?こんな人は初めてです。
男は、長い髪の毛。
まるでサーファーの様だ。
メガネをかけていて、目元と口元にホクロがある。
背は少し高く180位だろうか?
偉そうに振る舞うこんな男とは、関わりたくないのが本音だった。
「この世界では、犯した罪の重さと残りの寿命を決める事になります」
「ーー寿命?」
何か変な感じがして、翔太は聞いた。
「そうです。寿命です」
「ーーだって、俺は今死んでるんだろ?寿命を決めたところで、どーやって生きればいーんだ??」
「ここで寿命が決まり次第、元居た世界に戻されます。但し、良いことをすると、その期間は短くなり、悪いことをすると、その期間は伸びます。わかっていただけましたか?」
つまり、良いことをするとココで決められた寿命より短くなり、悪いことをするとココで決められた寿命よりも長くなる?ーーそーゆー事か?
「そうでございます。悪いことばかりを繰り返せば、あなたは永久に死ぬ事は出来ません。その覚悟はおありですか?」
「ーー上等だ!しかし、どーやって、寿命を決めるんだ?」
「ーーあなたの経歴、、いわゆる犯罪履歴は既にこちらで把握しています。なので後は上の人から、この世界での法に乗っ取って、手続きが進められるだけになります」
「て......手続き?」
「そうです。簡単ですよ!あなたはただ日付けとサインを書き、印鑑を押すだけです」
「ーー印鑑?持ってきてないよ。。」
翔太は少し慌てた様子で言った。
「大丈夫です。既にこちらで用意してありますので。。」
「ーーそっか。ありがとう!ところで、俺の寿命はいつ決まるんだ?」
ーーもう時期かと。。
名前のない「神」だと名乗った男は、そう言ってニヤリと笑った。
その笑いには、不気味さが漂っている。
何だか。。胸がモヤモヤする。。
これまでも何度かあったが、こんな風に胸がモヤモヤする時は、悪いことが起こる。。
そんな前兆を感じる力が俺にはある。
「あ、ちなみに、こちらで決めた寿命にあなたが納得行かなくても、拒否権はありませんのでーー裁判でもないので、やり直す事も出来ません」
付け加えるのを忘れたかの様に笑いながら、名前のない男が言った。
「おい、あんたーー名前は?」
翔太は聞いた。
「先程も言いましたように、私に名前などありません。。あなたの好きな様に呼んでください!!」
「わかった。。お前は悪魔だ!!お前の名前は悪魔だ!」
もう我慢出来なかった。。腹正しさの余り、
翔太は彼の事をそう呼んだ。
「ーーなるほど、今度は誹謗中傷ですか。。新たな罪が出来てしまいましたね。。」
ふぅ。
悪魔と呼ばれた男が、軽いため息をついてから、呆れた顔をしている。
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