03.Neo Voet-Tale

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「ここは何だ?」 「ここはあなたのですよ」 驚異の部屋――ヴンダーカンマー(Wunderkammer)――。 近世ヨーロッパで作られた珍品を集めた博物陳列室のことだ。 王侯貴族が私的に収集したのが始まりで、奇想天外さを競い合った。 現代の有名な博物館の前身となったコレクションもあるという。 憧れはしたが、遂につくることはできなかった。 死体など残していたら、足がつく。 「ヴンダーカンマーは、俺の精神世界にあるはずだ。なぜここにあるんだ?」 「ここもまた、あなたの精神世界だからです」 「ばかげている」 「では、彼女達はどう説明するんですか?」 「……確かにそうだ。これは俺だけが知る秘密だ」 「あなただけが知る? まさか」 「俺と彼女達の秘密とでも言う気か? 死者に秘密など意味ないだろう」 「まさか。あなたのことは全て、筒抜けなんですよ」 スマホが鳴る。 あいつからだ。 タイミングが悪い。無視しておこう。
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