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「アン、相談があるんだけど」
「なあに」
「気になる人がいるんだ」
「……そうなの? え、誰。学校の子?」
「秘密」
誰とは言わず、ノエルは相手の反応を伺うように見つめる。びっくりしたような表情を浮かべたアンは、すぐに切り替えした。
「──で? 相談てなに」
「アン、あたしに似合う服を選んでくれない?」
「なに、デート? そこまで話が進んでるの?」
「ううん」
「じゃあ、告白するの?」
「わからない」
曖昧な言葉ばかりを口にするノエルに、アンは考えるように軽く唸り、立ち止まった。
「よぉし、じゃあ私がノエルを世界一の美少女に仕立て上げてみせよう」
「あたしは元々美少女だよ」
「そだねノエルは可愛い。私とは違う」
「アンったらまたそんなこと言って」
ノエルは可愛い。まるで天使のようだ。それは私もよく知っている。
私が唯一認識出来るのが、ノエルの瞳と唇の色だけだからだ。それはとても美しい。まるで誘うかのようにそこだけが色づき、私の心を抉るのだ。
優しい世界をぶち壊してくれる。
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