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 二人で一緒に入った流行りの店で、アンは楽しそうに服を選んでいる。自慢の姉妹を更に美しく飾るのがアンの使命であるかのようだった。  これは? 次これはどう? とノエルの胸の辺りに服を当て、相手の反応を待たずに自問自答している姿は、まるで着せ替え人形で遊ぶ子供のようで、少しはしゃぎすぎにも思えた。 「これがいい、ね、ノエル。どうかな」 「あたしには少し派手じゃない?」 「えっ派手かな? ……嫌なら違うの選ぶ」 「こっちにしよ」  選んでと言っておきながら、ノエルは傍に置いてあった服を手に取り、アンに当ててみた。 「お揃いの服を着ましょう?」 「私はノエルとタイプが違うから、似合わないよ!」 「──アン、あたしの気になってる相手、知りたい?」  ノエルは話を急に変えて、微笑んだ。 「え、知りたくないよ」 「そうなの? はい、着てみて」 「……本当は、寂しいんだ」  アンは案外すんなりと言うと、服を受け取った。試着室でしぶしぶそれに着替え、ノエルの前に立つ。 「可愛いけどなあ……私にはどうも」 「アン、似合ってる」 「そうかなぁ」  くるりと回ったアンのスカートが、ふわりと揺れた。アンの瞳も唇も、モノクロの世界の一部でしかない。私にとっては、ノエルがすべてだ。
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