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「……絵梨花、入れて」
初めは確かにちゃん付けで呼ばれていた。それが桜に引っ付いていくうちに、いつか呼び捨てになって、たまに2人でご飯も食べたり、おうちに遊びに行ったり、距離は確かに近くなった。
この関係をなんていうのか、私には分からない。男友達なんだろうか。でも私に恋愛感情がある時点でそれも違う気がする。
それかセフレ?
でも私達、残念ながらと言うのもおかしいけどそんな男女の関係はない。湊くん意外と真面目なのか、私がいくら隙を出しても手を出してくることはなかった。私が、桜の友達だからかも知れないけど、それでもここ最近は女の影もない。たまに香る甘ったるい香水の匂いも、だいぶ前の過去で終わっている。
「今日も楽しかった?」
「当たり前〜、もうドラム叩きたくなってる」
「あは、職業病」
「素直と桜が一緒に歌ったらまじでやばい、鳥肌立ちっぱなしでしんどい」
「いいなあ、私も行きたかったなあ」
随分前からスケジュールは空けていたのに、急な人員不足で急遽職場に駆り出された。泣きそうになりながら、本当は駄目だけどランスケの曲聴きながらパソコンを連打していた。相変わらず好きだなあ、と思いながは探すのは、美しいメロディを支える、そのリズムの音。
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