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「ねえ覚えてる?」
わたしは、その声に顔を上げた。すると、目の前にはペロペロキャンディーを舐めている小学生くらいの女の子がわたしの顔をじっと見つめていた。
「え? 知らないわよ。って言うかあなたは誰かな?」
「まりなちゃん、わたしのことを覚えていないの?」
女の子は小首を傾げながらペロペロキャンディーを舐めている。
小学生の知り合いなんていない。だって、わたしは二十歳になる大人なのだから。でも、どうしてわたしの名前を知っているのだろうか。
「ごめんね……ちょっと分からないよ。ねえ、あなたはなんて名前なのかな?」
わたしの問いかけに女の子は、
「わたしのこと忘れたなんて悲しいな。わたしが誰かよ~く考えてね」そう言って女の子は眉根を寄せる。
そう言われても目の前の少女が誰なのかさっぱり分からない。
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