夏と女の子とペロペロキャンディー

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今は 夏休み。わたしは、おばあちゃんの家に来ている。 わたしは、おばあちゃんに作ってもらった冷やし天ぷら蕎麦を食べているところだった。夏はやっぱり冷たい蕎麦にサクサクの天ぷらだよね。うん、これは美味しいなと舌鼓を打っていると、突然目の前に女の子が現れたのだった。 「ねえ、あなたは不法侵入じゃないの?」とわたしが問うと、 「あ、そうかな? うーん、でも気にしないでね」 なんて言ってペロペロキャンディーを舐めてにっこり笑う女の子。そんな無邪気な笑顔を浮かべられると怒るに怒れないじゃない。 それに、この女の子はどこかで見たことがあるような気もする。大きな瞳に肩までのまっすぐな黒髪。懐かしいような不思議な感覚に陥る。 「まりなちゃ~ん、スイカを切ったわよ。食べるかい?」 おばあちゃんの声が部屋の奥から聞こえてきた。 「うん、食べたい」 夏と言えばスイカだよね。わたしは、瞳を輝かせながら答えた。
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