夏と女の子とペロペロキャンディー

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「まりなちゃんは、今、学生なの?」 女の子はペロペロキャンディーを舐めながら、わたしを質問攻めにする。 「違うよ。フリーターだよ」 「ふーん、就職もしなかったんだね。どうして?」 女の子は小首を傾げて聞いてくる。 「それは……何となくかな?」 そうなのだ。特に理由なんてないのだ。やりたい仕事がなかっただけ。ううん、そうじゃないかも? どうしてなんだろうか。やっぱり自分の気持ちが分からなくなる。 「まりなちゃんって変なの~」 ペロペロキャンディーを舐め続けている女の子には言われたくない。 「変じゃないもん! そっちこそ、ペロペロキャンディーなんて舐め続けて変だよ~だ」 わたしは、女の子に向かって下まぶたを人差し指で引き下げあっかんべーをした。 「あ、なにその顔ひどいよ~それにね、このペロペロキャンディーを舐めているのはまりなちゃんのせいなんだからね!」 女の子は頬をぷくりっと膨らませて言った。 「えっ? わたしのせい?」
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