13人が本棚に入れています
本棚に追加
3
右足の親指と人差し指の付け根を、一匹のアリが這っている。
「なんで小坂に目をつけた?」
最上は怒気のこもる声音でハナエに訊いた。
「……目なんかつけてない。ただ、仲良くなりたかっただけだよ」
言って、ハナエがかすかに笑みを浮かべた。
「いや、お前には分かってたはずだ。小坂がお前に惚れるのを」
「私には、だれかと仲良くなる権利すらないわけ?」
「仲良くした結果があれだ」
眼下で暴れる化け物を見ながら、最上は苦々しくこたえた。
「あいつまでショーシンにすることなかったろ?」
最上は、逃げ惑う人々に襲いかかる小坂だったモノから目を背け、ハナエを睨みつけた。
「一体、いつ終わるんだ?」
「最後の一人を倒すまでだよ」
「そんなの……無理なんじゃないか? お前が告白される限り、ショーシンは増え続けていくんだろ?」
言って、最上はハナエと契約を交わした日のことを思い出した——
最初のコメントを投稿しよう!