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「そう、多分、私のアルバムで唯一、父が写っている写真かな……」
その写真を見て彼が柔らかな表情を浮かべている。
「フーン、澪、とても嬉しそうだね。お父さんのこと大好きなんだ」
とんでもないと首を大きく左右に振る。
「お父さんなんて大嫌いって言ったでしょう。思い出したくもないの」
「でも、この子は大好き、嬉しいって顔をしてるけどね……」
私は自分の表情を見て、今とは全く違う父への想いを持っていたことに気付いて驚いていた。でも……。
「……でも……私は父の事が大嫌い……」
私がそう呟いていると、大翔が怪訝そうにアルバムの最終ページを捲って、その台紙を見ている。
「大翔、どうしたの？」
「いや、ここ台紙が貼り付いているからさ……。ほら！」
そう言って大翔は貼り付いた台紙を剥がし、そのページを広げた。そこには十二枚の忘れ去られていた写真が在った。その内、四枚は私と一緒に父が写っている。
それを見た私は、もう二十年近く忘れていた父との記憶が蘇って来た。
『パパ！ 大好き！』
写真の中の女の子がそう父に言う声が聞こえて来た。
「……えっ？」
不意に涙が頬を伝わるのを感じた。
「どうしたんだい？ 澪？ 泣いているの？」
後ろを向いて彼に答える。
「ううん、何でもないよ……大丈夫……」
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