記憶の彼方

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「おっしゃる通りだと思います。なんらかの原因で、今までよりも別人になっています。参考までに、女性のほうの家族や友人から聞いた話しと、受刑者の記憶している話はほとんど一致しており、思いちがいや記憶違いの要素を加味すると、男性の身体に女性の脳か記憶があるようにしか思えません。ちなみに、外科手術的な痕跡を確認しましたが、それは全くありませんでした。 「宇宙人が超人体な手術をしたとか」 「からかわないでください」 「ごめん」 「私、FBIで研修を受けたとき、同じような事件があったのを思い出しました。解決はされていないのですが、似てるなって思って」 「ほう」 「で、向こうの友人に聞いてみたんです。そしたら、まだ実験段階なんですが、南米のある施設で記憶交換操作というのをやってるっていうんです。どうしてそんなことを研究しているのかというと、将来的には、新しい身体に乗り換えて、不老不死を実現されるためだそうです」 「へえ。自分の意識とか記憶が永遠に続くということか?」 「はい、そのようです」 「あゆみちゃんは、そうなってみたいかな」 「私は、べつに今のままでいいですけど」
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