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そんな風に冷静に分析ができたのは、この冷めた性格のおかげだったのかもしれない。みんなにとって大きな関心事らしい恋愛も、私にとっては、大した意味をもっていなかったから。嫉妬や、羨望からもほど遠いところにいたんだ。
純粋に、かわいい友達ができたことを喜ぶ気持ちしかなかった。
『っっ。ありがとう』
これが、見た目も中身もまったくタイプが異なる私たちが、仲良くなったきっかけだ。
ちなみに、当時の私の勘は当たっていて、るりは何も悪くなかった。
なんといっても、彼女はあの当時から、いっそのこと感心してしまうほどに原先生一筋だったのだから。
「大げさだよ。それに、助けられたのは、お互いさまでしょ」
「佳奈は口数も少なかったし、大人びて見えたから、みんな話しかけづらかったんだと思うよ。それにしても……あーあ、あの頃のあたしって、人を見る目がなかったなぁ」
「それは否定できないところだけど」
「だよねぇ。あっ。でもでも、好きになった人だけは別だから!」
「まーね。先生は、良い人だと思うよ」
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