第五章 らしくない

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「じゃあ、次の問題を羽鳥」  十二月二十四日まで、わずか一週間とあと少し。  意識しはじめたら、街中はどこもイルミネーションとツリーで飾られていて、クリスマスムード一色だ。  どうして、先輩に言われたその時に、思い当たらなかったんだろう。ついうっかり、珍妙な生き物展のインパクトにつられてしまった。 「羽鳥? 聞いてんのか?」 「うわっ!? えーと……すみません、聞いてませんでした」  原先生は腕組みをしながら、首を傾げた。 「珍しーこともあるもんだな。まぁ、いつものクソ真面目ぶりに免じてゆるしてやるけど、授業はちゃんと聞いとけよ。試験も近いんだから」 「……すみませんでした。ありがとうございます」  今日から一週間は、試験勉強期間だ。  この間は、学校として部活動が休みとなるので、生物部の活動もできない。といっても、生き物たちは当然、我々の勉強事情なんぞおかまいなしにお腹を空かせるので、この間は、主に私とメガネくん、時々るりの三人で交代して餌やりだけすることになっている。
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