第六章 ドキドキのクリスマスイブ

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 待ち合わせ場所は、目的の展示がやっている水族館の最寄り駅の改札前。  今日の服装は、モスグリーンのタートルネックニットに、ふんわりと広がる黒いプリーツのスカート。その上にダッフルコートをはおり、白いスニーカーを身につけてきた。  たくさんは持っていない私服の中から選んだ、お気に入りの一着だ。  出かける前、お母さんに『あら? もしかして、彼氏とデート!?』と騒がれたのは恥ずかしかったけれど……。  そういう関係でないとはいえ、彼の隣を歩くんだもの。地味なりに、それなりの格好をしていきたかった。  寒さでかじかんだ手を吐息であたためながら、待ち合わせ場所のホームに降りたつ。雑踏にまぎれて駅の階段を降りながら、自然と、鼓動が高鳴った。  もうすぐ、先輩に会える。  顔を合わせるのは、ものすごく久しぶりな気がした。離れていたのは、たった一週間なのに。
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