第一章 恋とは一生縁がないのだろう

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「オーケー、わからん」 「えええ! 何故、わからないんだい!? 前々から思っていたことだけど、坂本くんには部員としての自覚が足りないよ! 入る部活を間違えているんじゃないか? 君のようにやかましく、さして生物にも興味がなさそうな生徒は我が部にふさわしくない!」 「まーねぇ。その自覚はあるから強くは言い返せないけど、そうはいっても、メガネだってあたしに抜けられたらそれはそれで困るでしょ? 最低でも三人はいないと、部活として認められないんだから」 「ぐぬぬぬぅ。ほら、羽鳥くん! 静観していないで、なにか言ってやってくれよ!」 「私は、この子たちを可愛がっていられれば幸せだからなぁ。るりが生物に興味を持ってくれたら嬉しいとは思うけど、正直、どっちでもいいや。廃部になるのは困るから、抜けられるのは嫌だけど」  現生物部のメンバーは、私とるりとメガネくんの三人。  全員一年生の上に、誰か一人でも退部したら即廃部になるという星燐高校きっての弱小マイナー部だ。部室として使用している生物室も校舎の片隅にあり、お世辞にも広いとはいえない。  個人的には、このアットホーム感が気に入っているから、現状を維持したいところだけど。
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