第六章 ドキドキのクリスマスイブ

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「あ……。えと、ありがとうございます」 「ふふっ」 「な、なにがおかしいんですかっ」 「ううん。羽鳥さんってしっかりしてそうに見えるけど、意外に抜けてるところもあるよね。かわいいなぁって思って」  っ。  振り回されすぎるな。しっかりしろ、羽鳥佳奈。 「手、つないだままでいいよね?」 「え?」 「ダメって言われても、離さないけど。また、誰かにぶつかりそうになられても困るから」  握られた手に力がこもった時、どうしようもなく、胸が締めつけられた。  同時に、誰からも愛される先輩にとっては、こういう言葉や行動にも特別な意味なんてないのだと思ったら、息苦しくもなった。  こんなの、知らない。  他人に簡単にペースを乱されるなんて、私じゃない。
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