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「それにしても、先輩はすごいですね。さきほどから、ただ歩いているだけなのに、ものすごく視線を感じます。いつも、こんな感じなんですか?」
今こうして目的の場所に向かっている間にも、彼は道行く人々の視線をさらっている。私まで巻き添えにしながら。
高校内だけではなく、どこにいても、常にこんな感じなのだろう。目立たずひそやかに暮らしてきた私には、到底、信じられない世界。
「あー……僕は、もう慣れてることもあって、あまり気にしないようにしているんだけどね。ごめん、やっぱり気になる?」
「先輩。また、謝ってますよ」
「あっ」
「何度も言わせないでくださいよ」
「うん。ごめん、じゃなかったね」
「そうです。先輩のことだから、目立たずにはいられないことなんて想定の範囲内ですよ」
「え、その想定はなんかやだなぁ」
「わがままを言わないでください。ほら、目的地に着きましたよ!」
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