第六章 ドキドキのクリスマスイブ

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「それにしても、先輩はすごいですね。さきほどから、ただ歩いているだけなのに、ものすごく視線を感じます。いつも、こんな感じなんですか?」  今こうして目的の場所に向かっている間にも、彼は道行く人々の視線をさらっている。私まで巻き添えにしながら。  高校内だけではなく、どこにいても、常にこんな感じなのだろう。目立たずひそやかに暮らしてきた私には、到底、信じられない世界。 「あー……僕は、もう慣れてることもあって、あまり気にしないようにしているんだけどね。ごめん、やっぱり気になる?」 「先輩。また、謝ってますよ」 「あっ」 「何度も言わせないでくださいよ」 「うん。ごめん、じゃなかったね」 「そうです。先輩のことだから、目立たずにはいられないことなんて想定の範囲内ですよ」 「え、その想定はなんかやだなぁ」 「わがままを言わないでください。ほら、目的地に着きましたよ!」  
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