第六章 ドキドキのクリスマスイブ

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「先輩、先輩! みてください~~!」  入場して最初に出迎えてくれたのは、ケージの隅っこの方で、大きな口をあけているそれは大きくていかつい亀だった。  ワニガメ、というらしい。  英名だと、Alligator snapping turtle。  ワニのように噛みつくカメ、という意味なんだって。 「うわ、すごいね。甲羅も刺々しいし、すごい大きさだ。かめきちの三倍ぐらいはありそう」 「はあぁ、体格しっかりしてるなぁ。うはー、めちゃめちゃかっこいいー!」 「……もしかして、羽鳥さんって、イカつい方が好みなのかな? もうすこし鍛えようかな」 「大きい子だと、百キロを超えることもあるそうですよ! この首の周りのトゲのようなもので水の流れを感知できるんですって! 一見、のぼーっとしていそうだけど、実はハンターなんですって! すごい、すごいなぁ」 「褒め殺しだねぇ」 「だって、これをすごいと言わずにいられますか!?」 「はいはい、すごいと思うよ」 「ふふふ」  最初の生き物にふさわしい、ワニガメの堂々たる姿に、あっという間に『珍妙な生き物展』の虜に。
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