第六章 ドキドキのクリスマスイブ

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 銀行員である両親の生き様を見て、育ったからだろうか。  ちなみに、堅実に働きながら私を育ててくれている二人には感謝しかない。共働きだからこそ、幼い頃は、あまりかまってもらえないことに反発してしまったりもしたけど。お父さんもお母さんも、大変そうだけど自分の仕事に誇りを持っているのだと知った時、素直に尊敬した。  イベント事には無頓着な二人だけど、その代わり、一緒に過ごせる時間を大切にしてくれていることも、今ではちゃんとわかっている。 「羽鳥さんの言っていることも、正しいと思う。仕事としてお金をもらうからには、綺麗事ばかりじゃないだろうね。だけど、好きを仕事にしている人たちが存在していることも現実だよ。ここで働いている人たちみたいに」  そっか。  言われてみれば、その通りだ。  常識に縛られる必要はない。  先輩の言葉は、やっぱり魔法みたい。 「あの。先輩には、将来の夢とかあるんですか?」 「漠然とだけど、良いなと思ってる職業はあるよ」 「何ですか?」 「……笑わない?」
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