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「わぁ、すっかり日が暮れてるや」
建物に入った頃は日も高かったのに、街が暮れなずんでいたから驚いた。
「私たち、ずいぶんと長い間、珍妙な生き物展にいたんですね」
「うん、館内のどこにどんな生き物がいたかをぜんぶ思い出せるぐらいには堪能しきったね」
「うっ。なんか、ごめんなさい」
「どうして羽鳥さんが謝るの?」
「思い返すと、私があまりにもはしゃいでいるから、合わせてくれただけなんじゃないかと思ってきて」
生き物たちを眺めまわしていた時は、夢中だったけれど。だんだん申し訳ないような気持ちがふくらんでくる。
私は楽しかったけれど、先輩はつまらなかったんじゃ……。
うつむきかけたら、くすくすとした笑い声が隣から漏れてきた。
「大丈夫。僕も、ちゃんと楽しかったよ」
「本当に?」
「うん。あんなに生き生きとしている羽鳥さんを見るのは、初めてだったし。君が楽しんでくれたことがいちばん嬉しかった」
真っ直ぐな言葉と、太陽のように眩しい笑み。
胸が苦しいぐらいにいっぱいになってしまって、言葉も返せない。
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