第六章 ドキドキのクリスマスイブ

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「ふふっ。固まってる、固まってる」 「あんな成りで、みんなの王子に目をかけてもらおうだなんて、図々しいにもほどがあるよねぇ」  どこからともなく聞こえてきたひそひそ話で、やっと状況を理解する。  あー、なるほど。  この蛙くんは私への嫌がらせの一環で仕込まれたというわけね。  ごめんね、アマガエルくん。こんなしょうもないことのために、下駄箱なんかに閉じこめられてかわいそうに。君も災難だったね。 「怖かったね。よしよし、もう大丈夫だから」  下駄箱の中で大人しく佇んでいるカエルくんを、両手で保護。 「げっ。あの女、いま、素手で蛙を掴まなかった?」 「うっそ、ありえない! まさかのノーダメージ!?」  そのまま無事に外へと逃がしてあげて、深いため息をついた。  はぁ。  もうこんなに広まっているなんて、気が重たいなぁ。
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