第六章 ドキドキのクリスマスイブ

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「なんであの子なの?」 「さあ。もしかして、王子って地味専?」 「いや、本命なわけないっしょ! 気まぐれじゃない? かわいい女の子に見飽きたから、ちょっとした遊びの一環的な?」 「あー、リアル〜! 絶対それじゃん」  ただ廊下を歩いているだけなのに、針の筵を歩かされているような気分だ。  逃げこむように教室に入ろうとしたら、今度はるりが大勢のクラスメイトたちに詰め寄られていた。 「坂本さん! 羽鳥さんと王子先輩ってどういう関係なの?」 「羽鳥さんと仲良いんだし、坂本さんならなにか聞いているんでしょ!?」 「まさか、付き合ってるとかじゃないよね?」  うっわ……。  クラス中の女子から囲まれて困った顔をしたるりと、教室に足を踏み入れかけた私の視線とが交差する。 「佳奈! 顔色、悪すぎ!」  るりはクラスメイトたちを振り切るようにして、私の下へとダッシュで駆けつけてきた。
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