第六章 ドキドキのクリスマスイブ

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「えっ?」 「そんなに体調悪そうなのに、授業なんて受けられるわけがないでしょ!」  血相を変えて、強引に私の腕を掴む。  そのままみんなから逃げるように教室を出て、階段を降り、廊下をつっきるように走った。  私のことを離すまいと固く握られた手に、それまで震えてばかりだった心がほわりと温まる。  るり、ありがとう。  事情もよくわかっていないのに、真っ先に助けようとしてくれて。  やってきたのは、生物室。  るりは、私を押しこむようにして部屋に入ると、そのまま鍵をしめてしまった。 「その鍵、どうしたの?」 「今朝、ここに餌やりをしにきてたメガネから借りたんだ。佳奈と落ち着いて話ができる場所を確保したかったから。今日は、一時間目の授業で使う予定もないみたいだし」  状況を察して、朝の内にそこまでしてくれたんだ。  感謝しかない。
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