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「はぁ。朝からどっと疲れたよ」
「るり。その、ごめんね。ありがとう」
「ううん、あたし自身はぜんぜん大丈夫。それよりも、佳奈こそどうなの? ひどいこととかされてない!?」
「ええっと、大丈夫だから落ち着いて? あっ。強いて言えば、下駄箱に蛙を入れられたけど」
「げええっ、蛙!?」
「うん。ちゃんと外にかえしてあげたよ」
るりは、ぱちぱちと瞬きをすると、噴き出した。
「さっすが、佳奈! そっかぁ、佳奈にその手の嫌がらせは通用しないよね」
「うん」
二人一緒に、生物室の椅子に腰掛ける。
ほっとしたら、よほど緊張していたのか、全身に疲労が襲ってきた。
「……迷惑をかけて、ごめんね」
「そんなに縮こまらないでよ。困った時は、お互い様でしょ」
「そっか」
「そーゆーこと! でも、あたしが知らない間に、まさか王子先輩とそんな進展があったとはねぇ。なにも話してくれなかったのは、ちょっとさびしかったな」
「うっ。ご、ごめんね? るりに話すほどのことではないと思っていたんだ」
るりは考えこむように腕組みをした。大きな瞳が、私の心をのぞきこむように、じいっと見つめてくる。
「単刀直入に聞くけど、佳奈は、ぶっちゃけ王子先輩のことをどう思ってんの?」
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