第六章 ドキドキのクリスマスイブ

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「どう思っている、とは……?」 「先輩は、迷子のかめきちを拾ってくれたことをきっかけに、生物室に遊びに来るようになったじゃん? あたしは今まであ・え・てスルーしてきたんだけど、それって純粋に生物室の生き物と戯れるためだったのかな」 「うん。そうだと思うよ」 「うーん……。まぁ、この際、先輩が何を考えているのかは二の次で良いや。佳奈自身の気持ちを聞かせてよ」 「私?」 「そう、佳奈の気持ち。佳奈は、王子先輩のことが好き? 好きだとしたら、それは恋愛感情として? こうなった以上、今までみたいに曖昧なままにはしておけないでしょ」  私自身の気持ち。  考えようとしたら、脳裏に先輩のやさしい笑顔が浮かんできて、喉がきゅっと細まった。  息が苦しい。  だけど、まだ、大丈夫だ。  この胸に感じているかすかな痛みは、今ならまだ、なかったことにできる。 「べつに……特別な感情はないよ」
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