第六章 ドキドキのクリスマスイブ

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 心を押し殺して述べた回答に、るりは、悲しそうに眉尻を下げた。 「本当に? あたしから見ている限り、恋愛感情があってもおかしくないように見えたけど」  るりの言う通りだ。  彼に対して特別な感情を抱いていないと言ったら、きっと嘘になる。  でも、この気持ちは、恋と呼ぶにはまだ淡く透明に近いものだから。 『いやぁ、ありえないわー。王子って、実は地味専?』  それ以上に私は、この想いをはっきりと自覚して、彼に迷惑をかけることの方がよほど怖い。  先輩は、お人好しでやさしい人だから、たとえ私の想いを受け入れることができなくても困ってしまうだろう。  それ以前の問題として、私は彼とは、悲しいほどに釣り合わない。この想いは、彼に迷惑をかけるものでしかないんだ。 「先輩は……思っていたよりもずっと生き物に興味があって、話を聞くのも上手だから、こんな私でも話しやすかったけど……ただ、それだけだよ。前にも言ったよね? 私には、恋がわからない」  今なら、引き返せる。 「……そっか。初恋ではなかったのかぁ」  るりのしんみりとした呟きに、胸がつきんと痛んだような気がした。
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