間章その3 王子さまはご機嫌斜め

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「ほんとうに、羽鳥さんって子と付き合ってるのかなぁ?」 「気になる〜〜。やっぱり、本人に聞いちゃおうよ! あっさり教えてくれるかもよ?」 「聞きたいところだけど……今日の王子くん、なんか珍しく怖くない?」 「うわ、ほんとだ。見るからに不機嫌そう」  今年が始まって以来、間違いなく最高潮にイライラしている。作り笑顔を浮かべる余裕すらない。みっともなく貧乏ゆすりまでしてしまう始末。  昨日の一件がもう学校中の噂になっているなんて、死にたいような気分だ。  羽鳥さんは僕の彼女だって堂々と宣言できたら、気持ちも晴れやかになるのだろうけれど。残念ながら、僕らはそういう関係ではない。  本当は昨日の帰り際、告白する予定だったのに。  史上最悪のタイミングで、白鳥さんに遭遇したから。
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