間章その3 王子さまはご機嫌斜め

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「おい。そろそろ完全下校時刻だぞ」  んん。  まだ、起きたくないよ。  というか、もうこのまま一生目覚めなくて良いかも。 「王子、お前……ひっどい顔。イケメンが台無しになってるぞ。もしかして、泣いてた?」  生物室を出てきて、下校する気力すらも失った僕がふらふらとした足取りでなんとかたどり着いた先は自分の教室だった。  散々泣きまくったけれど、それでもすっきりとはしなかった。  人は、思いきり泣くと、疲れるらしい。  そのまま机につっぷして寝落ちしていたところを、巡回していた原先生に見つかったようだ。  完全下校時刻だと急かされても、動く気になれなくて。机に寝そべったまま、ぼそぼそと、やり場のない気持ちを吐き出す。 「……失恋、したんですよ」
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