45人が本棚に入れています
本棚に追加
「失恋? えっ。例の前に言っていた子に?」
力なくうなずくと、原先生は「王子が失恋……? 待て待て、お前を振る女子なんて、この世に存在すんの? ウソだろ、信じらんねーんだけど」とぼやいていた。
噂のことは、さすがに、教師にまでは届いていなかったらしい。そんなことは、なんの慰めにもならないけれど。
「……完膚なきまでに失恋しました。少しは、同じように想っていてくれたら良いなぁなんて思っていたことが、バカみたいです。僕は、彼女に迷惑しかかけていなかったんですよ」
「それは、なんつーか……ご愁傷さま」
原先生は気まずそうに立ち上がると、教室を出ていってしまった。
……先生にまで、見捨てられた。
まぁ、失恋して愚痴っている男なんて、ただ面倒くさいだけだよな。
救いようもないほどに、酷い失恋だし。
最初のコメントを投稿しよう!