第七章 わかってしまった

2/22
前へ
/198ページ
次へ
 冬休み前、最後の登校日。  昨日は結局、るりに生物室に避難させられた後、教室には戻らなかった。  人生で初めて、学校を仮病で休んだのだ。  私の両親は共働きだから、そのまま家に帰ったところで、心配されずにすんだことだけは幸い。気分的には、今日も休んでこのまま冬休みを迎えたいぐらいだったけれど、餌やりの使命感に駆られ、気合だけで登校してきた。 「あの地味子、やっぱり王子に遊ばれてたらしーよ」 「なーんだぁ。ま、そんなことだろうとは思ってたけどぉ」  各方面から、自分と王子先輩の噂話が耳に飛びこんでくるところまでは、昨日と変わらない。  だけど、その内容はといえば、打って変わっていた。  遊ばれていた……?  思わず、下駄箱の前で足を止め、ひそひそ話に聞き入ってしまう。 「クリスマスイブデートにあの子を誘ったのは、気まぐれだってさ。別に深い意味はなかったって」
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加