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「にしても、あんな見るからに純情そうな子をもてあそぶなんて、王子も酷なことをするよねぇ。本気になっちゃったら、かわいそーじゃん」
「まー、王子くんは前々から、誰かを特別にする気はないって公言してるしね~。ってか、一回遊んでもらえただけでも、バリ羨ましいんだけど」
やっぱり。
先輩は、私のことをなんとも思っていなかったんだ。
わかりきっていたはずなのに、想像以上に動揺している自分がいた。
なんて、自分勝手なんだろう。
彼は、私と特別な仲なのだと広まるほど困るのだから、これで良かったはずなのに。平静ではいられないほどショックを受けているなんて。
胸が、痛い。
私にも心があったことをこんな形で知るなんて、皮肉なものだ。こんなに辛いのなら、本当に、心なんてなければ良かった。
恋なんて、一生、知りたくもなかった。
最後の登校日、王子先輩が生物室に顔を出すことはなかった。
メガネくんとるりが、先輩のことには触れず、いつも通りくだらない会話をしてくれたことだけが救いだった。
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