第七章 わかってしまった

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 ✳︎✳︎✳︎ 「あけましておめでとう、佳奈! 今年もよろしくね」 「あけましておめでとう、るり。今年もよろしく」  早いもので、もう年が明けてしまった。  冬休みに入ってからは、ろくなことをしていない。  休みの間も、生き物たちの餌やりがあるから学校には行っていたけれど、それ以外での外出は今日が初めてだ。 「初詣だ~! なにをお願いしようかなぁ」  るんるんと鼻唄を歌っている親友を見ていたら、沈んでいた気持ちが少しだけ和らいだ。やっぱり、出かけてみて良かったな。 「先生と両想いになれますように、とか?」 「それは願わないよ!」 「どうして?」 「だって、自力でどうにかしたいじゃん。神さまにも任せられない大事なことだから」  ピンクの手袋をぐっと握りこむるりは、今年もひたむきに恋をするようだ。
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