第七章 わかってしまった

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「さすがだね」 「ま、言うだけなら、簡単なんだけどねぇ。あー、なにかの間違いで振り向いてくれないかなぁ」 「間違いじゃ困るでしょ」  いつも通りのやりとりをしながら、やってきた神社に足を踏み入れる。家族連れにカップルと沢山の人たちで賑わっていた。 「あっ、みてみて! じゃがバターも気になるけど、焼きソバも良いなぁ」  参道には数々の屋台が並んでいて、食欲をそそる良い匂いが流れてくる。 「佳奈は、どれが気になる~?」  例年通りなら、瞳を輝かせて、なにを食べようか懸命に悩むところなのだけど……。 「んー、私はパス。なんでも好きなの買ってきなよ」  今年は、あんまり気乗りがしないな。 「ウソでしょ!? 佳奈に食欲がないなんて、そんなの異常事態だよ……! もしかして、体調が悪かったりする?」 「大袈裟だよ。今朝、お雑煮をたくさん食べたから、まだお腹いっぱいなだけ」 「なんだ〜、そういうことかぁ。ま、元気なら良いけど」
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