第七章 わかってしまった

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 実は、食べ過ぎたわけでもないけれど、そういうことにしておこう。  正直なことを言えば、冬休みに入ってからというものの、いまいち食欲がわかない。そうかといって、まったく食物が喉を通らないというほどではないから問題ではないはず。  新年早々るりを心配させたくはないし、あえて言わないでおこう。  二人でお参りをした後に、焚き木で暖をとりながら、屋台で購入した甘酒を呑んだ。 「はあぁ。あたしって、このまま一生、真ちゃんに片想いしてるのかなぁ……。あたし、たとえ真ちゃんがあたし以外の女の人と結婚してたとしても、あきらめきれる自信がないっ」 「ついさっきまで自信満々だったのに、なに言ってんの」  あきれて振り向けば、るりの頬は朱く上気していた。  瞳も、心なしかとろんとしているような……。  これって、もしや。 「ううっ……佳奈にとってはどうでも良いことかもだけど、あたしにとっては人生がかかってるんだよ!?」  ……やっぱり、酔っぱらっている。
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