第七章 わかってしまった

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 目を凝らして甘酒を購入した屋台に注目したら、張り紙に微量のアルコールが含まれているという注意書きがしてあった。なるほど、まったく気がつかなかったな。 「あたしには、真ちゃんが何を考えてるのか、さーっぱりわかんない!」  るりは、酔うと情緒不安定になるタイプだったらしい。これは大人になって、飲みにいくことになった暁には大変そうだ……。 「先生がなにを考えているかは、先生にしかわからないよ」 「うっわ、ど正論! ちぇっ。佳奈ってば……自分が、恋愛事に関心がないからってさぁ」  恋愛事に関心がない。  本当に、その通りでいられたら、良かったんだけどな。 「それはそうと、これから福袋を見に行くんじゃなかったの?」 「あーっ、そうだったぁー! はやく並びにいかないと」  るりが甘酒で酔っぱらうというプチ事件はあったものの、初詣からのお買い物はおおむね楽しかった。
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