第七章 わかってしまった

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 休み明けの学校では、休み前と打って変わり、ほとんどの生徒が私への興味を失っていた。  王子先輩自身が、私のことはなんとも思っていないと明言したことが、大きな影響を及ぼしたようだ。  知らない人に後ろ指をさされることもなく、陰口を叩かれることもない。  静かで、平和だ。  放課後になったら、生物室に行って、生き物たちと戯れる。裏口から、ひょっこりと王子先輩が現れるようなこともない。  全てが、彼と出逢う前に戻った。  これこそが、私の求めていた平穏。  そのはずなのに……どこか満たされないような気がしてしまうのは、どうしてなんだろう。まるで、最後の一ピースだけが見つからないジグゾーパズルみたいだ。 「あけましておめでとさん、羽鳥。また一人なのか? なんか、俺が来る時に限って、お前いつも一人だな」 「原先生、あけましておめでとうございます。ちなみに、るりはバイトですよ」 「別に、坂本がいてもいなくても、どっちでもいーけどな」
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