第一章 恋とは一生縁がないのだろう

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 その後は、吹奏楽部の演奏を聴いたり、調理部お手製のカレーを食べていたりしたら、あっという間に午後になっていた。  テーブルセットが設置されて休憩所となった中庭で、るりが憂鬱そうにため息を吐く。 「ああー……。演劇、憂鬱だなぁ」 「ファイトー。私は生物室に戻るわ」 「佳奈。今更だけど、連れまわしちゃってゴメンね?」 「んー、いや。なんだかんだで、るりと文化祭を満喫できて楽しかったよ。カレーもおいしかったし」 「なら、良かった! じゃあ、あたしはリハーサルがあるから教室に戻るね」  るりと別れて、生物室へと引き返す。  相変わらず人の気配が感じられないことに安堵しながら、部室の中へと戻ったら、 「羽鳥くん! すまない!!」  血相を変えたメガネくんが、いきなり土下座をしてきた。  ……ええっと、どういうことだ? 「こちらこそ、長時間一人にさせちゃってごめんね。どうかしたの?」 「単刀直入に話そう。かめきちが、脱走してしまったんだ!!」  エッ!?  かめきちが、脱走した!?
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