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「うっ」
「なーんか隠し事してねえか? ほれ、先生に話してみ」
「先生に話す義理はないです」
「おいおい、かわいくねーな」
先輩への想いは、このまま、誰にも言わずに隠し通すつもりだった。
この胸の中にとじこめて、このまま、存在しなかったことにしようって。
だけど……。
「……ただ、人生で、初めての恋と失恋を経験しただけです。よくある話でしょう」
ずっと一人きりで抱えるにしては、重たくなりすぎていたようだ。
気がつけば、ぽつりぽつりと、今までの成り行きを話していた。
もちろん、人名は伏せて、誰のことだかはわからないように。
原先生に打ち明けられたのは、普段それほど関わりがないからこそなのだと思う。深くはない繋がりだからこそ、聞かせられる話もあるものだ。
「ふうん。失恋、ねぇ」
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