第七章 わかってしまった

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「あ、ああー……。王子先輩。有名、ですよねぇ」  先生は、ニタリと口元をゆがめた。  あああ、白々しい演技に見えてしまったかな。 「ええと……なぜ、いま、王子先輩の話が出てくるんですか? 私は、失恋の話をしていたんですけど」 「悪い悪い。いや、急に思い出しちゃったんだけど、アイツ、実は今日学校を休んでるんだよ」  ウソ、そうだったんだ!  目を見開いたら、原先生は、ぺらぺらと事情を話しはじめた。 「どーやら、風邪をひいたらしくてさ。アイツの両親は共働きらしいし、今頃、看病する人もいなくて一人でうなってるんだろうな。かわいそうに」  わざとらしい物言いに、ますます警戒心が高まっていく。先生は、どういうつもりなんだろう。
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