第七章 わかってしまった

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「……なぜ、その話を私に?」 「実は、アイツに今日の内に渡さなきゃいけないプリントがあるんだけど、クラスの奴らに頼み忘れたんだよなー。というか、前にも、王子が学校を休んだことがあったんだけど、その時にプリントを届ける人間を募ろうとしたら女子の乱闘騒ぎになったことがあってだなぁ……。かといって、男子は男子でアイツの異様なモテぶりに嫉妬してるのがほとんどでツレねーんだよ」  ……なんというか、王子先輩は、つくづく大変な人生を送っていそうだ。 「そこで、羽鳥の出番なわけ!」 「はあ!? 嫌ですよ、どうしてそうなるんですか!」  なにが悲しくて、失恋したばかりの相手の家に、のこのことプリントを届けに行けと? 冗談じゃない。 「だって、考えれば考えるほど適任だし。落ち着いてる、騒がない、風邪で弱ってるアイツを前にしても襲わない。うん、完璧だ」 「お、襲わないって……」  先輩は男の人なのだから、むしろ襲う側ではないのか。  いや、そういう問題じゃなくて、どんどん話の方向がおかしくなってるんですけど!
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