第七章 わかってしまった

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「お前も知っての通り、王子は絶世のイケメンだぞ~~。あれだけのイケメンの顔を近くで見たら、失恋の傷もすぐに癒えそうだ」 「はああ!? なに適当なこと言ってるんですか、行かないですって!」 「頑固だなぁ。大体、体調不良で苦しんでるいたいけな高校生を放置していて良いのか?」  そう言われると、心が揺らぐ。  私の両親も共働きだから。風邪をひいた時に一人きりでいる心細さも、誰かが看病に駆けつけてきてくれた時の心底ホッとするあの気持ちも、手に取るようにわかるのだ。 「で、でも……。それなら、先生が行ってくれば良いじゃないですか。大体、今どき、教師が生徒の家の住所を勝手に他の生徒に教えて良いものなんですか? ダメですよね? それって教師失格ですよね!?」
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