第七章 わかってしまった

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 先輩に手を貸しながら、マンション内へUターン。  身体も熱くなっている気がする。これは、相当しんどかったんじゃ。  やっぱり、来てよかった。  さっきまでいろいろと考えこんで立ち止まっちゃったけれど、実際に弱っている先輩を前にしたら、普通に心配でしかない。 「ここが僕の家だよ。いらっしゃい」 「ええと……おじゃま、します」  やや緊張しながら足を踏み入れた先輩のお家は、綺麗に片づけられていた。入ってすぐのリビングには、深緑色のラグが敷かれている。その上にローテブルとソファが設置されていた。 「僕の部屋は、こっち」  彼は、リビングから繋がっている一つの部屋に、私を招きいれた。  ここが、王子先輩の部屋。  黒を基調とした勉強机に、教科書と資料集がびっしりと立てかけられていたから驚いた。この量だと、全ての教科を持ち帰っているんじゃないだろうか。今は、テスト期間でもないのに。そういえば、勉強は得意な方だと言っていたっけ。
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