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「ちょっと買い物に行ってこようかと」
「嫌だよ……。だって、やっと、やっと会えたのに……」
とろんとした瞳で、すがるように見つめられて。
「僕を、置いて行かないで」
潤んだ瞳で、請われてしまえば、もうダメ。
あっという間に心臓が早鐘をうちはじめる。
「……こ、子供みたいなこと、言わないでくださいよ」
「子供で、いーよ。羽鳥さんが、一緒にいてくれるなら」
離さない、というように掴んでいる手に弱々しく力をこめられる。
先輩は、やっぱり、ずるい人だ。
好きでも特別でもない、ただの後輩に対して、こんな言葉をいってしまえるなんて。
喉の奥が、熱い。
嫌だな。
大した意味はないとわかっていながら、先輩の、一挙一動に振り回されてしまう。
自分の心なのに、こんなにも、ままならない。
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