最終章 あふれる気持ち

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「教えてくれて、ありがとう。それに助けようとしてくれたことも。私ね……自分のせいで、先輩の評価を下げちゃうことが怖かったんだ。だけどね、いざ先輩は私のことを何とも思っていなかったんだって知ったら、想像以上に傷ついた。思っていたよりもずっと、この気持ちは大きいものだったんだって気がついたの」  先輩が、みんなからどう思われるかとか。  本来なら気にするべきことに、頭をひねる余裕もないぐらい。 「私は……王子先輩のことが、好き。先輩に、恋をしている」  言葉にしてみたら、今まで重しをのせられているみたいだった胸が、すっと軽くなった。  緊張が解けて、口元がほころんでいく。  一度認めてしまえば、抵抗していたことが嘘だったみたいに、前々から心の中にあった感情に思えた。  先輩のことが好き。  飾ることのない、ありのままの気持ち。  ぽかんと口を開いていたるりも、私につられるようにして目元を和らげた。 「佳奈から、そんな台詞を聞ける日がくるなんて」 「ちょっと、るり。なんで、涙ぐんでるの」 「だってっ……。嬉しくて」  この後、るりから散々あれこれと聞き出されていたら、授業に遅れてしまった。でも、一時間目は物理で原先生の授業なので『遅れても、まぁいっか』と思っていた節もあり、半分ぐらい確信犯であったことは二人だけのひみつだ。  
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