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言葉を区切り、教室内へと視線を戻す。
「この目で確認するまで信じられなかったけど、王子先輩と羽鳥さんって、ほんとーに付き合ってるんだねぇ」
「まさか、学校一のモテ男が、うちのクラスの羽鳥さんに落ちつくとは……。いやぁ、予想外すぎてビビるけど、あれはガチ恋っぽいね!」
「マジの恋だよ! ねえ、先輩が羽鳥さんにむけてた笑顔みたぁ!?」
「みたみた……! 王子先輩ってさ〜、あんなにやさしく笑うんだねぇ。今までも完ぺきな麗しさだと思ってたけど、あんなの間近で見たら絶対キュン死にする! 男子でも恋に落ちるでしょ」
ダメだ……っ。
とても恥ずかしい! その会話、ぜんぶこっちにまで筒抜けなんですけど!?
王子先輩は、目立つ。
誇張でもなんでもなく、まだ教室に残っている全員からの視線を感じる。
先輩とお付き合いするからには、避けて通れない問題だとわかってはいたことだ。彼に目立つなと言うのは、呼吸をするなと言っているのに等しいわけだし。
でもっ、今まで教室の隅の方で目立たず生活してきた身からすると、どうしても落ちつかない……!
「というわけではないけど?」
きょとんとしている先輩に、背伸びをして、こそこそと耳打ちをする。
「……この会話、注目されすぎているので。とりあえず、ここを離れましょう」
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