45人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日は冷えるねぇ」
「もう一月ですからね」
高校から駅までの道を、二人、肩を並べて歩く。
先輩が、黒いマフラーに顔をうずめた。
寒さからか、白い頬はほんのりと赤みを帯びている。
伏し目がちの瞳から伸びる、長いまつ毛。すっと通った高い鼻。
中性的できれいな見た目なんだけど、身体つきは意外と男の人らしいんだなぁと抱きしめられた時に感じて……って、私ってば、何を思い出しているの!
今更だけど、先輩って、本当に整った容姿をしているな。
以前の自分が『だからなに?』としか思っていなかったのが、今となっては信じられないくらいだ。
先輩は、世界で一番かっこいい。
今の私の目には、そう見える。
「羽鳥さん? ええと……僕の顔に、なにかついているかな?」
「はい。今更なんですけど、先輩って、ほんとにかっこいいですよね」
「ごほっごほっ。え? いきなり、なに? 羽鳥さん、もしかして熱でもある!?」
「えっ。そんなに驚くことです?」
予想外に驚かれてしまい、こっちまでビックリする。
先輩は、かっこいいなんて言葉、今までの人生で耳にタコができるぐらい聞いてきただろうに。
最初のコメントを投稿しよう!