後日談 ハッピーバレンタイン

5/7
前へ
/198ページ
次へ
「そりゃ、驚くよ……! だって、羽鳥さんが、僕のことをそう言ってくれたのたぶん初めてだし」 「そういえば、口にしたことはなかったかもです」 「えっ? ……ってことは、今までも心の中ではそう思ってくれていたってこと!?」 「当たり前じゃないですか、かっこいいと思ってますよ」  彼は、目を丸くした。  それから、照れたように頬を赤く染めた。 「僕さ、かっこいいって言われて、嬉しいと思うの初めてだよ。好きな子に言われると、こんなにドキドキするんだね」  噛みしめるように言って、先輩が、やさしく笑うから。  こっちまで、心臓がドキドキと高鳴ってしまう。顔まで、熱いぐらいだ。  先輩を好きになってから、私の心は、ずいぶんと自己主張が激しくなった。  なんだか調子が狂うなぁ。 「そんなことよりも先輩」 「ねえ、ここで話をそらすの!? ひどくない? けっこう勇気を出して言ったんだよ!?」 「風邪、ちゃんと治ったんですか? お見舞いにいった時、だいぶ苦しそうでしたけど」  平静を装いながら、強行突破で話題を変える。  ……これ以上この話を続けたら、負けは目に見ているし。 「ああ~! そういえばさ、あれ、やっぱり夢じゃなかったんだよね?」
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加