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「それはそうと、折角なら、かめきちだけでなく他の子にも餌やりをしてみますか?」
王子先輩は、ぱちぱちと長い睫毛が音を立てそうな瞬きをした。
「良いの?」
「何を今更。先輩は、そのためにわざわざここまで来ているんじゃないんですか?」
あれ、きょとんとされてしまった。
なにかおかしいことを言ったかな。
もしかして先輩はあくまでも亀愛好家で、他の子には興味がないとか?
「ぜひ。他の子の餌やりについても教えてくれる?」
彼は、にこりと笑った。
大勢の女の子たちに囲まれていた時に浮かべていたあの完璧な笑みではなく、もっと素朴な笑み。華やかさには、欠けるのかもしれない。
だけど、こっちの方がだんぜん良いな。
「自然ですね。いつも、そうやって笑っていた方が良いと思います」
「えっ?」
「……私が言えたことではなかったですね」
万年、能面顔の私に言われても、大きなお世話だったよね。
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