第二章 学園の王子さまは私の愛亀に夢中

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 黒髪ストレートの美人先輩が、ずいずいと詰め寄ってくる。 「この際だからハッキリ言わせてもらうけれど、王子くんが生物部に興味を持っていることはすでに周知の事実なのよ。ねえ、今日も来ているんでしょう?」  圧が、すごい。 「まぁ、来ているんじゃないですかね」  半ば投げやりに返答すると、話題の張本人が生物室からひょっこりと姿を現した。 「羽鳥さ……」 「王子くん!!」 「最近、放課後になるとすーぐいなくなっちゃうから、一体どこに行っているのかと思ってたけど、本当に生物室だったんだね!」  王子先輩は、目を丸くして「あー、うん。最近、生物の魅力に目覚めちゃってさ」とすぐにあの完璧な笑みを浮かべていた。 「え~、意外! でも、ギャップ萌えかもぉ」 「生物と戯れる王子くんも素敵―!」  黒髪ストレートの美人先輩は、みんなの中から躍り出ると、さりげなく王子先輩の腕にからみついた。 「ちょっ、白鳥さん! 腕!」 「ねえ、餌やりとかするんでしょう? わたしにもやり方を教えてくれない? 手取り足取り、て・い・ね・い・に!」  抵抗も虚しく、強引に生物室の中に連れもどされていく王子先輩。 「麗華って、あー見えて積極的だよね。でも、あの二人ってほんと絵になる」 「王子くんに彼女ができるのはさびしいけど、麗華が相手だったら仕方ないかって感じだよねぇ」  感心したようにうなずき、二人に続いて生物室の中に入りこむ女子一行。  おーい!  私、順番制にしようって言いましたよね!
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