第二章 学園の王子さまは私の愛亀に夢中

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 ✳︎✳︎✳︎  今日は秋晴れ。雲一つない青空が目に沁みる。 「続きまして、プログラムナンバー三番。一年生によるクラス対抗リレーです」  ついこの前まで十月で文化祭をやったばかりなのに、気がつけば十一月に入っていて今度は体育祭だ。この高校の秋はイベントで忙しい。  それにしても、もう自分の出番か。  憂鬱だなぁ……。 「いつにも増して無表情になってるよ、佳奈」  今日のるりはツインテール姿。  髪を結ぶゴム飾りを、三組のクラスカラーの青色に合わせているのが粋だ。ジャージ姿になってもかわいい親友は、私と正反対で、やる気満々。 「てるてる坊主を逆さ吊りにしていたのに、雨ひとつ降らないんだもん」 「むしろ、『わらわを逆さ吊りにするとは何事じゃー!』って怒っちゃったんじゃない?」 「ありえるなぁ」  体育祭を楽しみにしているのは、運動強者だけだと思う。私のような運動音痴にとっては、面倒なイベントでしかないもの。
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